持ち物は口ほどにものを言う気がするから、自分ではわからない自分が書いている間に見えて来るかもしれないなと、言ってみる。
別に背筋を伸ばし襟を正してやるようなことじゃないかもしれないけれど、なんとなく長文を書くのは緊張する。普段ブログに書いている日記よりも、自分の灰汁が出る気がするから。それを他人、友人に読まれるのは少し怖い。
本題
ということで、自分の持ち物を紹介しようと思う。
まず、最初、一回目の持ち物紹介に何を選ぶか。ここですら僕の人となりが出てしまいそうなのがとても怖くて、選ぶのには少し時間がかかってしまった。嘘である。
適当にそのへんに置いてあった財布をすぐに手にとって、中学生の頃に買ってもらったデジタルカメラで写真を撮った。なんとなく、スマホよりはデジカメな気がして。
とりあえず、この財布の基本的な情報だけ先に紹介しようと思う。
MINERVA NATURAL (ミネルバナチュラル)小銭入れ付き二つ折り財布
何これ?→革財布。牛革の。
どこのブランド?→GANZO
いくら?→¥29,160
使用期間→2年と4ヶ月くらい(使用中)(20200707現在)
この財布は、僕が高校2年生だった2018年のバレンタインデーに買った。
その日はクラスメイトと富士急ハイランドまで遊びに行っていて、バスで帰ってきた新宿駅で友達とバイバイして、急いで六本木ヒルズの中に構えるお店まで買いに行った。
今考えても、別にあの日に買う必要なかったのにめちゃくちゃに急いでいた。六本木の街をダッシュするのは、きっとこの先ない貴重な経験。
レシートが箱の中に残してあった。
20:54という閉店間際に駆け込んで汗だくでお会計をお願いしたから、きっと店員さんは「変な客が来たもんだ」と思ったことだろう。
走っていた理由は、都営大江戸線の駅から六本木ヒルズが想像以上に遠かったため。行くときは、東京メトロの駅を利用することをおすすめする。
この財布を買うまでに、だいたい一ヶ月ほどの期間、いろんな財布をインターネットや高島屋の紳士コーナーなどで物色した。
もともと僕は、衝動買いをしやすい、熱しやすく冷めやすい厄介な性格である。
そのため、しっかりした財布を買うのであればかなりじっくりと選ぶことが道理であろうということで、財布が欲しくなった日から一ヶ月以上という期間を設け、しっかりと考えた。
そもそもどうして自分が財布を買おうと思ったか。
おそらく、友達が新しく買ったという財布を見せてもらったことが、一番影響したのだと思う。
当時父親が昔使っていた革財布をレンタルして使っていたこともあって、自分の財布を持ちたいという欲もあったのかもしれないが、きっと僕の性格上友達の影響がほとんどだろう。
その友達は若者御用達ブランドと言っても過言ではないであろう、ポールスミスの財布を買っていた。いくらだったかもう覚えていないが、高校生では頑張ったと言えるような値段で、部活をバリバリにやっていた彼は土日返上で単発バイトをして買っていた。体力がすごいな。
箱の中身は、財布本体、いい感じの巾着、保証書を兼ねたピカピカのカード。裏には、買った日、買ったお店、商品名なんかが書かれている。
巾着がついている。これで持ち運べということだったのかもしれない。
ポールスミスの財布を見て「僕も財布ほしいですぅ」という、フグ田タラオにも似た行動を17歳で取ってしまったことは、黒歴史とまで行かずとも今思うと若いなと思う。ついこの間も友達が帽子を買っているのを見てまんまと欲しくなったから、一生そういう性格なのだろう。
ポールの財布を見せてもらったときに僕が欲しくなったのは、あくまでもディーゼルだったりグッチだったりコーチだったりといった聞き慣れたブランドの財布ではなく、職人がいい革を使って作ったメイドインジャパン財布だった。素直にブランド物を欲しがらないところも、ひねくれてていい。
それからというものの、いろんなブランドの財布を調べに調べ、長財布と二つ折り財布それぞれのメリット・デメリットを調べ上げ、最終的には数多ある革の種類にとても詳しくなってしまった。結果的に、高3のときに父親の転職祝いで買ったパスケース選びにその知識が大いに役立ったから悪い経験ではなかった。父、選んだ経緯やら革のうんちくなんかには全然耳を貸してくれなかったけど。
財布選びでは、大きく分けて
①二つ折り、若しくは同程度にコンパクトであること。
②経年変化を楽しめる、ナチュラルな革を使っていること
という2点に重きを置いて財布を選んだ。
長財布がとても苦手で、お尻のポケットから出ているのが本当に。言うと敵が増えるから言わない。
とにかく、あんまり大きいのは、
・かさばる ・バッグ無しで出かけるときも快適にいたい
という願いに反するため、二つ折り財布というのはマストな条件だった。
②のポイントは、ずっと使っていても変化するのが縁のボロボロ具合だけだと面白くないなと思ったから。思い切って毎月表情が変わるくらいのやつにしようということで、できるだけ手を加えていないものを探した。
ブランドは、土屋鞄や大峽製鞄、万双などと悩んだ。ブランドはあんまりこだわりがなかったこともあり、一番欲しいと思った物を売っているブランドにすることにした。ちなみに万双で父親のパスケースを買った。
最後の最後まで、ブライドルレザー(蝋を染み込ませたとても強くて硬い革。馬具などで使われている。使い込むととってもいい感じの艶が出る。)のものと悩んだ結果、経年変化した褐色に心を奪われ、ミネルバナチュラルを使ったGANZOの二つ折り財布を選んだ。
右側?とも言えるし左側?とも言える面の写真。
この面が一番いい感じにエイジングしていて、ずっと見ていられる気がする。
写真を見て分かる通り、この財布はあまり若者受けしそうな見た目をしていない。少しおじさんくさいとも言えるかもしれない。
僕はこのおじさんくささに惚れてこの財布を買ったのだが、きっとおじさんくささが好きになったのは、その時国語の教科担任だった先生の影響だ。渋くてとにかく仕事を完璧にこなし、それでいてホームルームでは笑いを起こせる。とにかく、尊敬のできる大人だった。
もちろん、学校での姿などその人の本当の姿ではないかもしれない。それでも、僕を含め多くの生徒はその人が先生でいる間の先生をとても慕って、尊敬していたんじゃないかなと思う。こんなひねくれた性格の僕が言うのもおかしな話だが、出会えてよかった大人の一人であり、僕の人格形成に影響を与えた、のかもしれない。わかんらんけど。
とにかく、その先生の纏う「メチャメチャ渋ダンディズム」なオーラに憧れ、敬慕し、ちょいと渋めの財布を選んだ。敬慕って単語、あこがれって書くのじゃチョットなと思い、カッコつけたくて「憧れる 類語」でググッて見つけた。国語だし、先生に怒られそう。
詳しい紹介
買って11日後、2018年2月25日の写真。
びっくりするくらい、色が薄い。あと、親指のささくれがひどい。財布を買う前にハンドクリームを買ってほしかった。
ここからは、この財布の詳しい紹介をしていく。
先程も書いたように、ブランドはGANZO。牛革のミネルバナチュラル(イタリア Badalassi Carlo社製)という種類の革を使っていて、使用期間は2年と4ヶ月ほど(2020年7月現在)。買った当時の値段は29,160円。アルバイトをしていたとはいえ、ちょうど一ヶ月分の給料くらいの値段だったので、その月は非常に厳しい倹約生活を強いられた。
革の一部分が、すこしひび割れを起こしてしまっている。
これは、僕がついこの間の4月に、エイジング目的で日焼けをさせていたところ、「やりすぎて」しまったことによる一生の傷である。(当該日記)
こ の財布を使う続ける以上、僕はこの日の僕を一生恨むだろうし、一生後悔してもしきれないんじゃないかと思う。日記を見てもらえばわかるのだが、異変に気がついたときの財布は真っ白だった。
この革の特徴は、とにかく弱く、エイジングしやすいところ。そして、独特のシボと呼ばれる表面の模様。
このシボについてはとても小さなエピソードがある。
六本木のお店で店員さんにこの財布をお願いしますという旨のお願いをしたら、裏から数個箱を持ってきて「どれになさいますか?」と聞かれた。
店員さん曰く、一つ一つシボの模様が異なることから革の表情を客自身で見て選んでもらうとのこと。
そこそこの時間、革について調べ、なかなか詳しくなり、恥ずかしながら少しばかり革に精通した自分に酔いしれていた当時の僕でも、「革の表情」というヘビーな単語はするりと飲み込むことが出来なかった。
とはいえ、17歳の僕。いろんな人と出会い、いろいろな経験をし、たった一人だけど女性とのお付き合いも経験した。アレはまだだけど革の表情を聞かれたくらいで慌てたりはせず、一度飲み込んだその言葉を反芻し、これ見よがしに一人ひとりの表情を見定め、できる限りのドヤ顔で「コレをお願いします」と言った。
かっこいい紳士を目指すにあたって、フレンチレストランのマナーを学ぶのも大切なことだが、ちょっといいお店で革の表情を見定める振る舞いも、ぜひ心得ておきたいものだ。POPEYEとかBRUTUSとかで特集組んでくれ。
話が少しそれてしまったが、財布の機能を紹介しようと思う。
開いたところ。
刻印のアップ。
よくわかっていないが、多分「アタイのとこの財布はめっちゃいい感じの革を使ってて、チョベリグな日本製。」みたいなことを書いているのではないだろうか。
中身を入れると、こんなかんじ。
メインバンクはちばぎんだが、こまめに出し入れするのはゆうちょ。そこは千葉県民として言い訳させてほしい。ちばぎんさんいつもお世話になっています。これからも貯蓄口座に毎月貯金入れますし、給料の受け取りはずっとちばぎんで行きます。
容量は、多くもなく少なくもないと思う。カードは6枚、頑張って7枚入る。ただ、裂けそうだから頑張らないほうがいいと思う。
小銭入れは2つに分かれているのだが、どうやら今売っているものは分かれていないみたいだ。
僕は1円5円10円を奥側、100円500円を手前に入れると決めている。未だにお金をちゃんと分けてるの、学生の時頑張ったこととして就活で言っても通用するんじゃないかと思っている。
分かれていることによりスムーズにお金を出せるというメリットが生まれ、50円玉をどっちのポケットに分けるか問題が生じるというデメリットが生まれる。ちなみに、僕の場合は50円玉の処遇について考え続けた結果、
・できるだけ産まないよう支払う
・もらっちゃったら家族共用貯金箱に入れるor机の中にしまっておくという
ルールが出来上がり、なんとか2つの世界が交わらないように保っている。
お札やレシートを入れる場所は、二箇所。
あいにくお札もレシートもたくさん入れないタイプなので、綺麗なまま。レシートをためない男性って持てそうな響きなのに、一向にモテん。
こちらは、財布のコバと呼ばれる部分の写真。
コバというのは、革の端っこ、切断面のことで、ここの処理が財布のクオリティーを表していると言っても過言ではないらしい、と、信憑性の定かでない個人ブログに書いてあった。
とはいえ、改めて見てみると2年以上経っても美しさは変わっていないし、買ったときに「木みたいだ」と感動したときのままのようにも見える。
そういえば、父親に買ったパスケースのコバあんまりだったな。表参道の革小物屋さんでみたやつ、コバの処理があんまりで買うのやめたな。
コバ、大事だ。
おしまい
さっき載せた写真の、反対側。
こっちの面には何で付いたかわからない黒い斑点があり、これもまた味なのではないかと思っている。
まさか書き始めるまでは、財布について書くだけで5000字以上も書くことになるとは思っても見なかった。これでもまだ足りないくらい。書きたいことはまだあるから、いつか追記しちゃうかもしれない。
いざ書き始めてみると、手に入れるまでの思いやら手に入れてからかわいがったこと、お手入れしたことなんかを思い出して、キーボードを叩く手がほとんど止まらなかった。
一回も下書き保存せずに書ききってしまうとは。これくらい学校のレポートもスラスラ書けるといいんだけどな。
本当は、ブラシで磨いたりクリームを塗ったりすることについても書きたかったのだが、そもそもそんなことをしなくてもいい革であるということ、過保護はあんまり良い結果をもたらさないことということもあって、書かないことにした。
これを読んでナチュラルな革を使った財布に興味を持ってほしいわけでも、僕の貼ったリンクから買ってほしいわけでもない。
ただただ、自分の大切な持ち物について自分自身がどう考えているかを僕が確認し、文字に起こしてみたかったに過ぎない。
ちょっぴり下心として、おしゃれな人だと思われたいというのはあった。こういうところがだめで、国語の先生のようにおしゃれになれないのだろう。
長く拙い文章を読んで頂き、ありがとうございました。
bound-for-kisui.hatenablog.com